理事長挨拶

住友 雅人
一般社団法人日本歯科医学会連合
理事長 住友 雅人(すみともまさひと)

学術団体にも必要なサービス精神
 一般社団法人日本歯科医学会連合の今期は7月12日からスタートしました。平成28(2016)年に創設されて以来、8年目に入ったわけです。当時の大きな目標であった日本医療安全調査機構の社員になることと新しい専門医制度下で歯科の専門医機関の創設に関わることは早々に達成されましたが、社会におけるその存在は満足できるまでに至っていません。もちろん、その存在を知られ、存在意義を浸透するには継続的な努力が必要であることはわかっている、といっても結果が全てです。私もこの団体の理事長を任されて5期目に入りました。「ゴキめ!」と言われるかどうかはわかりませんが、この後期高齢者は学会連合理事長としてまだまだ活動しています。大学の教員時代(当時は助教授)に学長から「どんな世の中になろうともゴキブリと住友は生き残る」と言われて海外留学に出かけました。最初の留学先の英国から次の留学先のフィンランドへ家族を連れて真冬に移動したのは今考えても大変なことでした。それでも苦労しただけあって、私が希望した歯学部は日本人で初めての長期滞在者ということでいろいろな経験をさせてくださいました。その体験をしたためようと考えた紀行文のタイトルは「ゴキブリホイホイ スオミを歩く」でした。当地では忙しくもあり、また体験しない方にまでその臨場感を伝えるのは至難であるということから早々に執筆をあきらめ、一緒に来ている家族との思い出を記憶にすることで良しとしました。留学中に新聞社から依頼があり、障害者歯科に関わる現地レポートを2回にわたって行ったことはありました。しかしその場で一緒に経験することと、文章や写真で説明を受けて知るのとでは感じることが全く違います。それはつまらないという意味ではなくて、絶対的に同じものにはならないということです。体験の共有は言葉によるそれとは違う質感を生むのです。
 話は大きく脱線しましたが、日本歯科医学会連合の存在が強く認識されるには、同じ場にいられる企画が求められるということです。私たちは、経験の場を作るとともに、その場に向かってもらうための努力が必要です。それは企画内容であり、継続的な好印象であり、さまざまです。内容が誰かの活動に具体的に資するものであればなおのこと記憶にとどめていただくことが期待できます。学会連合のさまざまな企画に気づくこともなく.そして何事もなされないかのごとくにスルーされない、さらにはきっと何かを起こしてくれるという期待感を持ってみていただけるような、そういう存在感を社会の中に醸成することが問われていると自問しています。それはいわゆるサービス精神を発揮するということではないでしょうか。学術団体もサービス精神を!と時代は求めています。

令和5 (2023) 年7月24日

※フィンランド

TOPへ戻る
一般社団法人 日本歯科医学会連合