役員挨拶
一般社団法人日本歯科医学会連合の誕生
住友 雅人
平成28年4月1日、一般社団法人日本歯科医学会連合が発足しました。
すでにある学術団体が法人格を取得するのは、今日、たやすいことになっています。しかし、本法人はゼロからの出発であり、公益社団法人日本歯科医師会の内部組織が中心となり、外部に別団体を設立するということの了承を得るために、多くの話し合いと時間を要してまいりました。
ちょうど、時期を同じくして日本医師会の内部組織である日本医学会が外部に別団体を設立することになり、平成26年4月に一般社団法人日本医学会連合を立ち上げました。この方式をわれわれが法人化する上での参考にしてまいりました。
多くの学会をまとめる組織の法人格は、医科・歯科ともに、国からも社会からも求められていました。もちろん法人格をとることが最終目的ではありません。法人格はこれからのさまざまな活動のための免許ともいえる資格です。
誕生までの経緯
学会の法人化が最初に協議されたのは、平成14年3月25日の日歯と学会の役員連絡協議会でした。14年前になります。当時の学会長は斎藤毅先生でした。
より具体的な法人設立に関する日歯・学会の打ち合わせは、平成23年8月17日に始まり、江藤会長時代に7回、私が会長に就任した平成25年7月11日に1回、開催されています。日本歯科医師会が平成25年4月1日付けで公益法人化したために、従来は独立会計のもとに運営され、事務局も独立し、職員も専任であった日本歯科医学会が、それを機に日本歯科医師会の内部組織の立場となりました。学会は日本歯科医師会からの資金が主な収入源でしたが、独立した会計のもとに運営していたことから、学術団体を統括する組織として、ある意味の自主性を持つことができていましたし、日歯の公益法人化後も従来通り多くの事業を行ってきています。しかし、学会が早い時期に法人格を持つことの意義は、日本の歯科界にとっても重要であるとの共通認識のもとに、両者間で、どのような形で法人化するのがよいかについての打ち合わせが行われてきたのです。平成28年4月の法人設立を目指しての会合は、平成26年から27年にかけて6回開催されています。この間に日本歯科医師会の代議員会には平成27年度に3回、「協議題」として諮られていました。
学会においては『学会のあり方検討協議会(座長:永山正人)』が設置され、法人化への具体策に向けての諮問がなされ、4回の開催で定款を含めての詳細な答申書が提出されました。
そして、平成27年7月8日に日本歯科医学会連合の設立発起人会を立ち上げ、さらに設立準備委員会に移行しました。委員会は平成27年8月4日から平成28年3月31日までに3回開催し、設立のための登記体制を整えました。
会員諸学会へ
このような、長年にわたる継続な努力によって、一般社団法人日本歯科医学会連合が誕生したのであります。井戸を掘っていただいた学会関係者ならびに日本歯科医師会の関係者の恩を忘れてはなりません。この井戸からくみ上げられる貴重な水は多くの場面で生かされなければなりません。
現在は、運営資金も十分とは言えず、事務局も日本歯科医師会のご厚意による仮住まいの状態であります。これからは徐々に自前の体制を整えていく必要があります。それには会員学会の帰属意識を高め、さらに連合の存在意義を十分に発揮していかなければなりません。
そして、忘れてならないことは、歯科界として社会により積極的に貢献するためには、日本の歯科臨床の中心をなす日本歯科医師会との強い連携が必須であり、ひいてはそれが日本歯科医学会連合の活性化にもつながるということです。法人格を持ち独立した団体同士の連携をもって、社会に顔を向けた活動を、積極的に行っていこうではありませんか。すなわち、歯科界が社会に提言する上においても、社会から要請を受ける上においても、この双頭の力をもって望めるということが大きな意味を持つことになるのです。
会員諸学会は互いに協力して、誕生した連合の発展と成熟を目指しましょう。
平成28年5月9日